まつりか (茉莉花) 

学名  Jasminum sambac
日本名  マツリカ
科名(日本名)  モクセイ科
  日本語別名  ジャスミン、モウリンカ(毛輪花)、モレンカ、モリカ
漢名  茉莉花(マツリカ,mòlìhuā)
科名(漢名)  木樨(ボクセイ,mùxī)科
  漢語別名  末利・抹厲・抹利・沒利・末麗
英名  Arabian jasmine
2005/08/11  薬用植物園 (温室)

 ソケイ属 Jasminum(素馨 sùxīn 屬)には、主として旧世界の熱帯・亜熱帯に約200種がある。〔下記のうち、Chrysojasminum(探春花屬)を独立させることがある〕。

  ナガバジャスミン J. adenophyllum
インドシナ・マラヤ・アッサム産
  ツルジャスミン J. azoricum マデイラ産
  ベニバナソケイ J. beesianum(紅茉莉・紅素馨・小酒瓶花)四川・貴州・雲南産
        
『雲南の植物Ⅱ』206・『中国本草図録』Ⅶ/3299 『全国中草葯匯編』下/81
  ノハラジャスミン J. bifarium
  J. bignoniaceum(Chrysojasminum bignoniaceum)
インド・スリランカ産
  J. coarctatum(密花素馨) 雲貴・インドシナ・アッサム・インド・ヒマラヤ産 『雲南の植物Ⅲ』225
  J. duclouxii(叢林素馨・夾竹桃葉素馨)
廣西・雲南産
         『雲南の植物Ⅱ』207・『中国本草図録』Ⅷ/3735
  J. elongatum(J.amplexicaule;扭肚藤・猪肚勒)兩廣・雲南・インドシナ・ヒマラヤ産
         
 『中国本草図録』Ⅸ/4292 『全国中草葯匯編』下/304
  リュウキュウオウバイ J. floridum(Chrysojasminum floridum;
         探春花・迎夏・長春・牛虱子)
         
河北・河南・陝西・山東・湖北・四川・貴州産 『中国本草図録』Ⅲ/1323
  J. fruticans(Chrysojasminum fruticans)
地中海地方・カフカス・イラン産
  J. goetzeanum(Chrysojasminum goetzeanum)
アフリカ(中部)産
  オオバナソケイ
(ソケイ・スペインソケイ・ツルマツリ) J. grandiflorum(J.officinale
         f.grandiflorum;素馨花四川・貴州・雲南・チベット・ヒマラヤ産
  J. humile(Chrysojasminum humile)
    ヒマラヤソケイ var. humile(矮探春・小黃素馨)
         
四川・貴州・雲南・ヒマラヤ・アフガニスタン・イラン産 『雲南の植物Ⅰ』201
      ウンナンソケイ f. wallichianum(var.glabrum;羽葉矮探春・羽葉素馨)
         
雲南・チベット・ヒマラヤ産
    キソケイ var. revolutum(矮探春)
 ヒマラヤ原産
    var. siderophyllum(鐵銹葉矮探春)
    var. microphyllum(小葉矮探春・小葉素馨)
甘肅・四川・雲南・チベット産
      f. kansuense(甘肅矮探春)
 甘肅産
  シマダソケイ J. lanceolaria(淸香藤・破骨風・破藤風) 『雲南の植物Ⅲ』225
         
臺灣・長江以南・陝甘・四川・貴州・雲南・インドシナ・マラヤ・アッサム産
         『全国中草葯匯編』上/670
  J. laurifolium(嶺南茉莉・桂葉素馨)
         
廣西・雲南・チベット・ヒマラヤ・ベンガル・タイ産 『中国本草図録』Ⅱ/0760
  J. leptophyllum(Chrysojasminum leptophyllum)
  オウバイモドキ J. mesnyi(J.primulinum;雲南黃馨・野迎春;E.Primrose jasmine)
  ケソケイ
(ボルネオソケイ) J. multiflorum(J.gracillimum;毛茉莉;E.Borneo jasmine)
         
インドシナ・インド産
  イヌシロソケイ J. nervosum(J.hemsleyi;靑藤仔・鷄骨香・蟹魚膽藤・千里行房)
         臺灣・兩廣・四川・貴州・雲南・チベット・インドシナ・マラヤ・ヒマラヤ産
         『雲南の植物Ⅲ』225・『中国本草図録』Ⅹ/4791
  オウバイ J. nudiflorum(迎春花・金腰帶・小黃花;E.Winter jasmine)
  J. odoratissimum(Chrysojasminum odoratissimum;濃香茉莉)
  ソケイ(ペルシャソケイ・シロモッコウ) J. officinale(素方花;E.Poet's jasmine,
         White jasmine)
四川・貴州・雲南・ヒマラヤ・西アジアに産
    var. grandiflorum(大花素馨花)
『全国中草葯匯編』下/42-43
  J. pakeri(Chrysojasminum pakeri)
ヒマラヤ西部産
  J. pentaneurum(厚葉素馨・靑竹藤) 兩廣・インドシナ北部・ヒマラヤ産 『中国本草図録』Ⅹ/4792
  J. polyanthum(素興花・多花素馨・鷄爪花) 四川・貴州・雲南産 『雲南の植物Ⅱ』208
  シャムソケイ J. nobile(J.rex)
インドシナ産
  マツリカ J. sambac(茉莉;E.Jasmine,Arabian jasmine)
  J. seguinii(亮葉茉莉・大理素馨) 廣西・四川・貴州・雲南産 『雲南の植物Ⅱ』208
  J. sinense(華淸香藤・華素馨) 臺灣・華東・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南産
  J. stans(Chrysojasminum stans)
エチオピア産
  J. subhumile(Chrysojasminum subhumile;滇素馨)
          四川・雲南・ミャンマー・ヒマラヤ産 『雲南の植物Ⅱ』208
  シロマツリ J. subtriplinerve
  オキナワソケイ J. superfluum
 琉球産
  シロソケイ J. trinerve
  ミヤマソケイ J. urophyllum(J.cathayense, J.taiwanianum, J.brevidentatum;
         華南茉莉・華南素馨・川素馨)
臺灣・廣西・兩湖・四川・貴州・雲南産
   
 英語のジャスミン Jasmin は、ソケイ属の植物の総称だが、就中マツリカを指す。
 モクセイ科 Oleaceae(木樨 mùxī 科)については、モクセイ科を見よ。
 漢名の茉莉花(マツリカ,mòlìhuā)は、サンスクリット語のマーリカー malika・パーリ語のマッリカー mallika の音写、抹厲・末麗・末利・抹利・没利・摩利迦などとも写し、仏典では奇妙・鬘花と意訳する。
 サンスクリット語で一名をヴァールシカー varsika、パーリ語でヴァッシカー vassika といい、雨時生・夏生と意訳する。
 和名は、漢名の音。
 『大和本草』茉莉に、「近年異邦ヨリ來レル茶蘭ナルヘシ、ヨクアヘリ」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』10(1806)に、「モウリンクハ
薩州 モレン花 モリ花三名ミナ唐音ノ転ナリ」「今ハマリト呼」と。
 学名・英名のジャスミンは、アラビア語 yasamin・ペルシア語 yasemin から。
 漢語にも、野悉蜜(ヤシツミツ,yĕxīmì)・耶悉茗(ヤシツメイ,yēxīmíng)と音写したが、これはオオバナソケイ J.grandiflorum(素馨,ソケイ,sùxīn)を指した。
 インド原産。今日では、南インドのマイソール州で盛んに栽培する。
 中国では、唐末頃から兩廣・雲南で栽培され始め、宋代に一般化した。
 観賞用のほか、女性は身に着けて首飾りとし、或いは化粧水として用い、またその花瓣を乾燥させて茶に混ぜ、茉莉茶
(マツリチャ,molicha。別名は香片茶 xiangpiancha、英名は jasmine tea)として飮用する。
 中国では、根・花を薬用にする。『全国中草葯匯編』下/361-362  
 日本には「慶長(1596-1615)年中ニ始テ来ルト云、京師ニハ宝暦(1750-1764)ノ頃ヨリ流布ス」(『本草綱目啓蒙』)

     茉莉(まつり)花の夜の一室(ま)の香のかげに
     まじれる君が微笑
(ほゝゑみ)はわが身の痍(きず)
     もとめ来て沁みて薫りぬ、貴
(あて)にしみらに。
        
(蒲原有明「茉莉花」より)
 

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